ライターの武田砂鉄さんをお迎えし、作品の魅力を語って頂きます。
日時:
1月25日(金)19:20回上映後
料金:
一般1,800円/学生・シニア1,200円/会員1,100円
チケット販売:
1/22(火)午前0時より、シアター・イメージフォーラムのオンラインチケット購入ページにて販売開始。
劇場窓口では、1/22(火)午前10時から販売開始。
※当日はマスコミ取材が入る予定となりますので、ご了承ください。
※登壇者は予告なく変更になる場合もございますので、あらかじめご了承ください。
<3名様>
<7名様>
<1名様>
①公式twitterをフォローし、
②映画の半券写真、
③ #ヒューマンフロー感想 のタグ
と共に感想を投稿してください。
※A賞と特別賞は半券2枚以上の方が対象
1月12日~3月31日まで
注意事項:※半券1枚の場合はB賞のみが対象となります。 ※同伴者様の半券活用も可※当選連絡はDMでさせていただきます。 ※フォロー解除、RT取消をすると無効になります。 ※個人情報は本キャンペーンのみに使用致します。 ※当選権利の売買、譲渡は禁止されています。
※支援順・敬称略
貧困・戦争・宗教・政治的立場・環境問題など、様々な理由で増え続ける難民たち。
その数は、2018年には過去最高の6,850万人に上り(撮影当時の16年は6,500万人)、深刻化する事態とは裏腹に難民受け入れを拒否する国が広がっている。
いま、世界で何が起きているのか。
難民たちが辿り着くギリシャの海岸、四方八方の国に散るシリア難民、ガザに封鎖されるパレスチナ人、ロヒンギャの流入が止まらないバングラデシュ、ドイツの空港跡を利用した難民施設、アメリカとメキシコの国境地帯など、23カ国40カ所もの難民キャンプを巡り、彼らの旅路をなぞってカメラに収めたのは、中国の現代美術家であり社会運動家としても活躍するアイ・ウェイウェイ。11年米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出され、その力強い美術的主張が注視される彼が、祖国を追われ地球上を逃げ惑う人々の日常に肉薄する。自らのスマートフォンやドローンからの空撮を駆使し、地球を巡っていく壮大で圧倒的な映像美は、ヴェネチア国際映画祭を始め各国の映画祭で賞賛された。
“大地の漂流者たち”が味わう苦難の中に、人間の尊厳と希望を、索漠とした光景に息をのむほどの美しさを見つけ打ちのめされる本作は、“観る”のではなく“体験”するためにつくられた。
何度も地図の書き換えが行われてきた
動乱の世界で、
人間の尊厳への関心を
失いつつある社会は
予測もつかない
分裂の危険に瀕していると、
全世界へ警鐘を鳴らす
衝撃のドキュメンタリー!
難民については、1951年の難民条約に以下のように定められています。
「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」
上記に加えて、「平和に対する犯罪、戦争犯罪、人道に対する犯罪、避難国外での重大な犯罪、あるいは国連の目的や原則に反する行為を行ったことがない」、という条件もクリアする必要があります。
このように、国際法上でいう「難民」の正式な定義は、たいへん狭く限定的なものなのです。
世界の「難民」はここ10年で何とほぼ倍増、国内避難民など強制的な移動を余儀なくされた人を加えると6,850万人にのぼります。
これは世界全人口の1%弱。実に100人に1人が移動を強いられ“難民”あるいは迫害や紛争を逃れるため国内避難民になっていたり、他の国に庇護を求めていたりするという計算になります。
いまや世界は、難民を抜きにして語る事はできません。
日本に庇護を求める難民申請者の数も年々増えています。10年前には難民申請者がわずか1,600人だったのが、昨年は10倍以上、2万人近く(1万9,629人)ありました。日本は1970年代後半からインドシナ難民の大量流出を受け、1981年難民条約に、翌1982年に難民議定書に加入、新たに難民認定制度を導入しています。
日本は、1970年代後半から難民の受け入れを始めてから、インドシナ難民、条約に基づく難民認定された人、難民として認定されなかったものの、人道配慮を理由に在留を認められた人、2010年に開始した第三国定住によって受け入れられた人が延べ1万5,000人近くいます。
そんな私たちの身近にいる難民…、彼らはどんな想いを抱いて過ごしているのでしょうか。
UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)は、国連機関のひとつで、本部はスイスのジュネーブ。世界中に130カ国、478都市に事務所が置かれています。
UNHCRのトップである国連難民高等弁務官は、フィリッポ・グランディ。イタリア人です。先代は現在の国連事務総長、アントニオ・グテーレス。1990~2000年の10年間は、日本人の緒方貞子さんが務めました。
UNHCRの職員は、各国の首都や地方部に置かれた事務所に所属していますが、その中で直接、難民の方を相手に仕事をする現場を「フィールド」と呼んでいます。1万1,000人ほどの全スタッフのうち88%は現場勤務で、残りはジュネーブの本部などで政策・プログラム形成や予算管理などをしています。スタッフの国籍は、さまざま。必ずしも出身国で仕事をするわけではありません。今までいくつもの過酷な現場を経験した多数のスタッフが、各地に派遣され、世界中の難民を支援しています。(本作には、世界中に派遣されたUNHCRのスタッフの方々の生の声も多く収録されています。)
Agenda note「国連難民高等弁務官事務所の広報日記」連載より抜粋1957年、北京生まれ。現代美術家、建築家、キュレーター、文化評論家、社会評論家など多数の肩書きを持つ。08年、北京オリンピックのメインスタジアム「鳥の巣」の設計に参加し、一躍その名が世界に知れ渡った。09年に森美術館で開催された日本初の個展“アイ・ウェイウェイ展-何に因って?”には46万人もの来場者が訪れた。11年には、米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。人権活動にも力を入れ、08年の四川大地震で死亡した児童らの当局への責任追及によって、11年に北京の自宅で軟禁された。12年には監視下の中でアーティストとして生きる日々に密着したドキュメンタリー映画『アイ・ウェイウェイは謝らない』が公開。15年には、ベルリンへ移り住み、ベルリン芸術大学のアインシュタイン客員教授に就任。同年アムネスティ・インターナショナルより「良心の大使賞」を受賞。
インディペンデント映画製作者、ジャーナリスト。ゲイラン・ロス監督と共にプロデュースと共同脚本を担当した『Dealers Among Dealers(原題)』(95)でデビュー。本作の監督・製作であるアイ・ウェイウェイを追ったドキュメンタリー映画『アイ・ウェイウェイは謝らない』(12)の製作を手掛け、サンダンス映画祭審査員特別賞をはじめ数々の映画賞に輝く。18年には、中国における最初の民主運動と表現の自由を求めるデモを描いた初の長編監督作『Beijing Spring』(原題)が公開された。
サンダンス・インスティテュートのドキュメンタリー映画プログラムのディレクターを経て、パーティシパント・メディア社に入社。以来、数々の社会派長編ドキュメンタリー作品を手掛けてきた。主な作品に、アカデミー賞®長編ドキュメンタリー賞受賞の『不都合な真実』(06)や『シチズンフォー スノーデンの暴露』(14)、同賞ノミネートの『フード・インク』(08)、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイを描いた『わたしはマララ』(15)などがある。
1979年より映画編集に携わり、250本以上におよぶ多彩なジャンルの作品を手掛ける。代表作に、アカデミー賞®外国語映画賞ノミネートのアドベンチャー映画『ホワイトウイザード』(87)、ジョシュア・オッペンハイマー監督のアカデミー賞®長編ドキュメンタリー賞ノミネート作『アクト・オブ・キリング』(12)、『ルック・オブ・サイレンス』(14)などがある。05年には、デンマーク映画協会からドキュメンタリー大賞であるルース賞の生涯功労賞を授与された。
さまざまな難民キャンプを
いろいろな角度で撮ると、
焦点がぼけて作品が平板になりがちだ。
でもこの作品は圧倒的な映像美と
軸のぶれない世界観で
軽々と
その罠をクリヤーしている。
アイ・ウェイウェイ監督おそるべし。
難民については、
どんな詳細なデータよりも、
目を背けたくなる現実を「見る」ことで、
多くを学ぶことになる。
どんな難問でも知ることが
はじめの一歩である。
したたかで強靭な思想を持った
アイ・ウェイウェイは、
とてつもなく大きなスケールの作家だ。
だが、彼もまた、故郷を追われた
一人の難民なのかもしれない。
「共存など理想だ」という
人々にこそ、この映画を観てほしい。
その理想を笑う前に、
そもそもこの不条理に
目を向けてきただろうか、と。
映像の圧倒的な迫力が印象的でした。
文字情報としては知っている状況が、
これほど凄惨で危機的なもの
だということが、
恐ろしいほどの
リアリティを持って迫ってくる。
ネットでひとつに
繋がったかに見える世界で、
人は言葉と民族の壁に沿って対流している。
一方で、現実でも壁とフェンス、
国境と偏見で世界は分断されている。
本作は紛争や戦争からではなく、
“難民”の視点から世界を対流する。
そこで目にする人類の“異常漂流”は、
環境破壊をも凌ぐ、
地球規模での危機ではないか。
英のEU離脱、
米のトランプ大統領誕生、
今の世界を読み解く鍵が難民だ。
世界の中の日本、他人事ではない。
難民のひとりひとりに表情があり、
言葉があり、人生がある。
難民に等しい少年期を過ごした
監督にしか見えない真実が、そこにある。
浜辺に打ち上げられた
難民たちの姿には涙したにもかかわらず、
その後を生き延びた者たちのことを、
私はきちんと見ようとさえ
していなかったのかもしれない。
ひたすら受け入れてくれる国を求め、
異国の地で、食事をつくる、
洗濯をする、眠る。
平均26年続くという難民生活、
大地を漂流するひとりひとりの"日常"が、
アイの視点を通して
くっきりと映し出されている。
映像に、そして、言葉に圧倒された。
ドローンを使った「新たな光景」に
目を奪われた。
移動の自由を奪われ、
閉じ込められた空間をかくも美しく、
かくも悲しく描いた映画があっただろうか。
そして、ウェイウェイ監督が映画の中で、
何度も発した、
「I respect you.」という言葉。
そのフレーズは
いまも私の心の中で響いている。
それは相手を同じ人間と捉え、
真摯に向かい合おうとした証として。
難民こそ人類の
本当の姿かも知れない。
トラフ地震が30年以内、という
避けられない予測がある以上、
私たち一人一人が
未来の難民なのかも知れないのだ。
難民という特殊な人たちが
存在しているのではない。
ささやかな幸せを大切に暮らす、
ごく普通の人たちが
ある日『難民』になるのだ。
苦難の中で希望を捨てず
生きようとする難民たちに心打たれる。
遠い国の出来事ではすまされない、
私たちはこの現実と
向き合わなければいけない。
自分には何ができるだろう…
今だからこそ見てほしいドキュメンタリー。
ドローンやsmart phoneを使って
撮影された美しい、臨場感ある映像が、
世界の難民たちの置かれた悲惨な状況を
リアルに訴えてきます。
ニュースだけでは伝わらない、
難民たちの日常や
プライベートな想いが胸にささる。
時折挿入される詩も美しく印象的。
いつか私だって
彼らの立場になるかもしれない、
そういう気持ちで見てほしい。
人間は地球の表面を難から逃れて
ひたすら歩き続けるアリのような存在なのか。
はるか昔からそうだったような気もするし、
緊迫する現代ならではの問題のような気もする。
時間軸さえ揺らがせる
難民たちへの惑星レベルの俯瞰と肉薄。
アイ・ウェイウェイの一大叙事詩にして
最大の問題提起!
ヒューマン・フローは
私たちひとりひとりに向けられた
体験的メッセージだ。
アイ・ウェイウェイの眼差しは、
人間の尊厳に対する
私たちの意識を呼び覚ます。
困難を乗り越え人間らしく生きることへの
希望に向けて。
過去の紛争や先進国が行う蛮行に
私は声をあげなかった。
今その結果を突きつけられている。
2019年現在、世界中の人々に観てもらいたい最重要映画。
特に先進国の人々に、そして裕福な人々に。
地球上の全ての人が安全な生活を、幸福を、
希望ある未来を享受する権利がある。
生まれてきた全ての命が祝福される権利がある。
全ての恵まれた状況にある人々は、
苦境を強いられる難民の人々に手を差し伸べるべき。
戦後最悪の人道的危機に瀕する現在、
他者の苦しみに無関心でいることはもはや罪だ。
世界は慈悲の心を、助け合い分かち合う心を、
思い出さなければいけない。
それが壊れかけたこの星の秩序を回復させる
唯一の道だと思う。
全身全霊で伝えたい。
この映画を、絶対に観てください。
生まれた国が違うだけで、
私もあの一人だったかもしれない。
生きるために、必死の思いで海を渡る人々も、私たちも、
同じ時を生きる人間です。
静かな水平線の向こうには、
約束されない未来を信じ、海に出る人々がいます。
人生を左右する明と暗は、
生まれた国が違うだけでいいのだろうか。
人道的危機に対して非人道的である
国際社会の責任を考えさせられる映画です。
脅しでも説教でもなく、
淡々と描かれる映像に打ちのめされる。
ドローンやスマートフォンによる映像が、
静かに力強く訴えかけてくるドキュメンタリー大作。
深刻なテーマだが、
人類が種として生き残る希望が見えてくる。
無知という共通の敵に結束して
立ち向かおうと励ます類まれな作品
TVニュースとは大きく異なる見方を示す
アイ・ウェイウェイ独自のドキュメンタリー。
地球の容姿自体が変わってしまいつつある
人類の危機を、
じっくりと鮮やかに描くパワー溢れる映画である。
難民危機が、
世界を飲み込むほど恐ろしい勢いで
広がっていることを感じさせる。
時々挿入される引用文が美しく、忘れられない
アイ・ウェイウェイらしい、
刺激的なコンセプトと映像には、
暴力、経済的絶望、迫害に対する悲しみと
怒りがこみあげてくるものがある。
これは、難民問題の『不都合な真実』である。
さまざまな難民キャンプをいろいろな角度で撮ると、焦点がぼけて作品が平板になりがちだ。でもこの作品は圧倒的な映像美と軸のぶれない世界観で軽々とその罠をクリヤーしている。アイ・ウェイウェイ監督おそるべし。
高野秀行 /ノンフィクション作家